ラミマルブログ

リハビリの仕事を通して学んできた経験をもとに、病気やリハビリ、健康や日々のことなどを発信中

失語症に有効なリハビリとは!?

こんにちは、ラミマルです。

 

今日で3日目。高次脳機能障害の「失語」についてお伝えしています。

 

初日は、失語の種類についてお伝えしてきました。

あなたの失語症は どの種類!? - ラミマルブログ

 

二日目は、失語がなぜ起こるかの原因と検査方法について書きました。

失語症の「知っておきたい」原因と評価法 - ラミマルブログ

 

今日は3日目で、失語症のリハビリについて書いていこうと思います。

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もくじ

 

失語症のリハビリとは

失語症のリハビリは何が有効なのでしょうか?

そのようなときは、「脳卒中ガイドライン」です。本ブログでも何度も登場している一冊です。脳卒中リハビリに対して、何が有効かの指針になってくれる一冊です。

 

この一冊によると

言語聴覚療法は行われるべきである(グレードA)特に集中的に行うことで効果が表れやすい(グレードA)失語症訓練時間回復には相関関係がある。また、訓練をうけたボランティアによる訓練でも、効果が期待される(グレードB)

言語聴覚療法は、主にSTさんがリハビリを行います。従来の言語聴覚療法は効果があり、特に集中した訓練でその傾向は強いとされています。

また訓練を受けたボランティアによる指導でも期待ができるという報告もあり、これは家族さんにも強みになる内容かと思います。家族の方が訓練を受け実施することで、失語症に対し効果を上げることが出来れば、自宅でも治療が行えるようになるはずです。

 

維持期において、失語症に対し、強制的言語使用訓練、グループ訓練、地域リハビリプログラム、コンピュータ訓練等のリハビリテーションの介入は勧められる(グレードA)

 維持期とは、急性期や回復期を得て症状が安定した後、在宅で生活をしている時期のことを指します。その維持期に対しても多くの根拠のある治療法があります。

 

 失語症の患者さんとの関わり方

 受傷後の失語症の方の状況

失語症がある患者さんは、自身と他者のコミュニケーションや距離感が上手く築けず、不安や感情失禁など負の方向に向かってしまいます。病院では知り合いもいないので、話す相手もいませんし、上手に話すことが出来なければ自分から話すことも避けることでしょう。

そうなれば、日常生活で自ら動いて何かに参加することも少なくなり、介助の多い生活になるでしょう。心理面では、不安や不満が溜まる一方、上手く表出できずうつ傾向になります。

そのような状況では、ますますコミュニケーションが成立しにくい状況に陥ります。

 

 失語症の方に周りはどう接していくか?

ポイントはいくつかあります。上記のような心身状況であれば、人と接することに緊張がでてくるのは当然です。なので声のかけ方距離感の詰め方、相手の表情をよく観察するなど、慎重に対応することが必要です。

また理解することが難しかったり、時間がかかることが多いため、ゆっくりとしたペースで抑揚をつけて、分かりやすく話すことが大事です。

言葉が伝わらないからと言って、こちらも早口でペラペラと小難しい説教をしても相手には苦痛にしかなりません。余計混乱をきたす結果になるでしょう。

なので、相手に伝わるように話していきましょう。

 

また言葉が話せない分、他の五感で周りの状況を察知しようと努力してくれています。失語症の方が安心と安定を感じるのは、自分自身で周りの状況がどう動いているか予測がつくことです。なのでゆったりとした行動の中で、次の行動を予測しやすいように働きかけることが大事です。それが患者さん自身の心構え自発的な動きに繋がると言えます。自発性や主体性をもって動けるように、促すことはとても大事なことになります。

 

また何を行っていいか分からない状況に連れて行き、あれこれやってもらうことは混乱に繋がります。なので今までの生活の過程で学んできた食事や入浴、トイレ動作など分かりやすく、行っている意味が明確なことから関わっていくことで、混乱を少なくすることが出来ると思います。

 

自発的に話すことが、少ない方は家族が積極的に話しかけてあげ話す機会を作ることも一つです。また病院という特殊な集まりの中では、患者さん同士がお互い上手に喋れないながらも、目線や相手の表情を読み取り、身振り手振りを使って、コミュニケーションを図るということは重要なことだと思います。例えそれが伝わらなくても、その場を共有できることは、一つ成長に繋がると言えます。その成長を積み重ねていくことが、再びコミュニケーションを確立する第一歩だと思います。

 

今までもたくさんの失語症の方を見てきましたが、話せなくても周りの状況をよく観察し、満面の笑顔で場を和ませる方がいらっしゃいました。その方は、話すことは「あ~、う~」としか言葉がでません。しかし、その方がいれば周りの方も笑顔になる素敵な方でした。

そのときに気付かさせてもらったのが言葉も大事ですが、言語を利用しないノンバーバルコミュニケーションの重要性です。分かりやすく言えば、俳優の出川さんは外国の方と言葉を交えなくても、楽しく場を共有することが出来ています。これは言葉を利用せずとも、ジェスチャーや顔の表情、周りの雰囲気を上手に作り出しているから、なせる技だと思います。

誰しもそのようになれるかといれば難しいですが、やはり誰かと話そうという気持ちの持ちようは大事だと思います。

 

まとめ

・言語聴覚療法は、失語症に効果がある

・訓練時間と回復には相関関係があり、維持期の訓練でも効果はある

失語症への関わり方で、いい意味での変化を起こす可能性は十分にある

 

最後に

失語症のリハビリとはと書いていますが、大したことはかけていません(笑)しかし、周りのちょっとした配慮や、自分の心がけで、失語自体のリハビリの受け取り方は変わると思います。

失語のタイプを知ること、どういう評価があるかを知り、自身の重症度がどの程度かを学ぶ。そしてどうリハビリに取り組む、周りが取り組ませるかで、失語症の状態がすこしでもいい方向に変わることを願っています。

 

  

今日も心の持ち様、捉え方と書きましたが、

この本は、高次脳機能障害と向き合って生きるにはどうするかという視点で書かれています。リハビリにはどう取り組むべきか、日常生活をどう捉えるかなど参考になる部分が詰まっています。気になったら手に取ってみてください。