失語症の「知っておきたい」原因と評価法
こんにちは、ラミマルです。
昨日に引き続き失語症についてお送りします。
昨日の内容では、
・失語症は、大きく分け言語を理解すること、話すことに分けられる
・分類は自発後の流暢性、聴覚理解の可否、復唱可能かで分けられる
と失語症にも種類があるとお伝えしました。昨日の記事も合わせて読むと分かりやすいかと思います。
では今日も進めていこうと思います。
もくじ
失語症は何が原因となる?
失語症は主に脳卒中により症状が出現することが多いです。脳卒中ってなにという方は、こちらを先に読むと分かりやすいですよ。
失語症は脳梗塞では28%程度、脳出血では35%程度、クモ膜下出血は24%程度合併し、少なくとも脳卒中後に30~40%程度の割合で失語症を伴います。
脳梗塞ではどこが詰まることで起こる?
主に言語野に血を送る血管は、左中大脳動脈が担います。そのため血が詰まる範囲や部位によって失語症が出現します。
脳出血はどこの出血で起こる?
脳出血の失語症は、言語に関連するネットワークが途切れてしまうことや、言語野自体が出血によって損傷されたり圧迫されることで起こります。
言語のネットワークの経路として、大脳皮質⇒基底核⇒視床⇒大脳皮質と繋がっているため、基底核や視床などの中継点が損傷することでも症状が出てきます。
くも膜下出血はどこの出血で起こる?
くも膜下出血では、脳動脈瘤(脳の血管に出来たコブのようなもの)の破裂によって言語野に影響がある場合と、遅発脳血管攣縮(脳の血管が一時的に狭まり血が通わなくなくこと)によって、言語野に血が送られないことによって起こります。
失語症の評価はどうやって行う?
失語症を呈した患者さんの評価やリハビリは、主にST(言語聴覚士)が担います。主にSTさんがどのように評価を行っていくかを紹介します。
トークンテスト
失語症がどのくらいの症状か判断するために、流ちょうに話せるかなどトークンテストという検査で判断します。
トークンテストは「小さい黒い丸と、大きい青い四角をさわりなさい」などと指示し、聞くことによる言語理解と短期記憶(数秒~数十秒程度の間の記憶)の二つを同時に検査します。これらによって失語の簡単な検査をします。
標準失語検査(SLTA)
主に失語の診断に、使用される機会の多い検査です。
①失語の有無や重症度、タイプなどを評価する
②聴覚理解や自分で話すことなどの課題がどのくらい行えるか判断し、経過とともにどう変化するかを判断する
③多岐に渡る失語症の症状に対し、どうリハビリを進めていくかの判断材料にする
これらの目的で評価をしていきます。
聴覚的理解、漢字の読解、仮名の読解、復唱、自発話(呼称、動作の説明、漫画の説明)、漢字の音読、仮名の音読、自発書字、書き取り(漢字・仮名)などの各項目に対して、音節(仮名一文字)、単語、短文、文章の各レベルで課題が構成されています。その各項目を6段階で評価していきます。所要時間は1時間半ほどで終了します。
WAB失語症検査
言語機能の総合的な検査を目的にしていて、言語症状の有無やタイプなどについて評価します。ブローカ失語、ウェルニッケ失語、全失語などの分類が出来るようになっています。
テスト項目は、自発話の内容・流ちょう性の評価、イエス・ノー反応、継時的命令、復唱、呼称、動物名の想起、文章完成、文字による命令、絵・物品・話し言葉と文字単語の対応、文字の分別、漢字の構造の認知、指示に従って書く、書字表現、書き取り、写字、構成行為、視空間認知、行為および計算からなる。
言語以外にも失行や失認に対する項目も含まれています。所要時間は60~90分程度。
実用コミュニケーション能力検査
この検査は失語症の方が日常生活の中で、どのようにコミュニケーションを行っているのかを知ることを目的としている。
挨拶、病院場面、外出場面、電話、時計、テレビなど34項目の課題からなります。身振り手振りを使い、相手になんとか伝われば正答といった、コミュニケーション能力をどれだけ使えるかを検査しています。
テスト結果は(全面介助、大半介助、一部解除、実用的、自立)5段階で判定される。このテストで得意、不得意なコミュニケーション活動を知ることが出来る。
これらの検査を初期、中期や後期と経過と共にテストを行い、継時的変化を見ていきます。
まとめ
・複数のテストを継時的に行い、失語症の変化を追っていく
最後に
今日は失語症の原因と評価法を話してきました。脳卒中で失語症を伴うと、体が動かないことや上手くしゃべれないないことで、大きなストレスがかかってきます。リハビリを行うことで、少しずつ回復はしていきますが、周囲のフォローは大切なものになってくることは忘れてはいけません。
明日は、失語症のリハビリについて書いていこう思います。
昨日も書きましたが、
この本はもやもや病にかかった女性医師が、高次脳機能障害と向き合って生きるにはどうするかという視点で書かれています。リハビリにはどう取り組むべきか、日常生活をどう捉えるかなど参考になる部分が詰まっています。気になったら手に取ってみてください。