ラミマルブログ

リハビリの仕事を通して学んできた経験をもとに、病気やリハビリ、健康や日々のことなどを発信中

脳卒中後の上肢機能評価のまとめ

こんにちは、ラミマルです。

 

少しずつ暑くなってきてますね。日中も長袖から半そででもちょうどいい時期になってきましたね。日本列島も梅雨入りのところが出てきているようで、夏が近づいてきています。

 

夏になると水分をマメにとることは忘れないようにしましょうね、また家の中にいても熱中症になることも増えていますので、エアコンや風通しのいいところで涼しく過ごすのが大事になります。

 

さて今日は、上肢機能の評価方法についてまとめていきたいと思います。

 

脳卒中片麻痺になってしまったら、手足が麻痺の影響を受けて動かなくなります。その経過を見ていくうえで、我々セラピストはいろいろな評価法を使い、上肢機能の能力経過、改善具合などを判断していきます。

 

しかし評価法は数多くあるのが実際で、自分自身の知識の整理も含めてまとめていこうと思います。

 

こんな人に読んでほしい! ・上肢の評価法について知りたい
・どういうことを評価しているのか興味がある

 

f:id:ramisuke:20210517043822p:plain

 もくじ

 

上肢の評価法について

上肢の評価法はいろいろなものがあります。検査用紙のみで行えるものもあれば、評価を行うにあたり検査キッドが必要なものもあります。また評価する内容の違いによって、実施する項目も変わってきますし、評価にかかる時間も検査法によってまちまちです。

では上肢評価で主に使用されている評価法をまとめていきます。

 

 Brunnstrom Recovery Stage(ブルンストロームリカバリーステージ)

脳卒中片麻痺の運動機能評価として主に使われます。上下肢、手指の3つの部位の分離度や運動能力の評価を行い、ステージⅠからⅥに分類します。おそらく片麻痺患者の状態を把握する上で、メジャーな評価法でほぼどこの病院でも評価されており、ステージがどのくらいと言われると、あーだいたいこのぐらい動けるなと分かるくらい浸透しているものです。

 

 fugl meyer assessment FMA(ヒューゲルメイヤー評価)

上肢運動機能、下肢運動機能、バランス、感覚、関節可動域・疼痛からなる脳卒中の総合的身体機能評価になります。この評価は世界で広く使用されており、メジャーな評価法になります。身体機能を細かく評価できることが特徴で各項目を使い分け、よく判定結果で発信されることも多い評価です。上肢と下肢を合わせた合計の点数は100点で、点数が高ければ、麻痺の状態が良いとされます。評価項目が多く、時間がかなりかかる印象があります。

 

 Simple Test for Evaluating Hand Function STEF (簡易上肢機能検査)

上肢の動作能力、特に動きの早さを簡単かつ短時間で評価する検査になります。片麻痺の検査でよく利用されますが、重度の麻痺の方では課題の難易度により検査が行えません。

ステフ

ステフ | 酒井医療株式会社

上記の検査キッドを利用し、物品を把持したり、移動させたり、離したり評価します。0~100点で評価し、点数が高いほうが上肢機能が良いとされます。日本ではよく使われる検査ですが、国際的にみると主流な検査ではないそうです。

 

 Box and Block Test BBT (ボックス&ブロックテスト)

 

f:id:ramisuke:20210517061853p:plain

(3)上肢機能評価 | 酒井医療株式会社

 

短時間で簡単に行える検査になります。150からなる小立方を1分間のうちに何個動かせるかを評価します。現在の機能レベルの把握に役立ちます。

 

 Motor Activity Log・Motor Activity Log-14 MAL MAL- 14

実生活による麻痺側上肢の使用をみる評価法です。日常生活によく使われるタオルを使って体をふくことや、フォークやスプーンを使って食事を行うことなど、14の項目を「=AOU」と「質=QOM」という2つの視点で評価をします。またこのMALでは日常生活でどの程度、麻痺している手が参加しているかを評価できます。

この評価自体が患側へのフィードバックとなり、患側への意識づけや日常生活上の麻痺側使用につながる可能性があります。また効果判定に用いることで、実用的な麻痺側上肢使用へのリハビリテーションにつながります。

 

 Wolf Motor Function Test WMFT

世界中で使用されている脳卒中片麻痺者における上肢運動機能評価法のひとつです。

6つの運動項目と9つの物品操作を行い、所要時間と、動作の質で評価します。

この検査は国際的に使用されているため、共通評価として利用できます。

 

 Manual Function Test MFT

MFT

MFT | 酒井医療株式会社

上肢の前方挙上、上肢の側方挙上、手掌で後頭部を触れる、手掌で背部を触れる、握る、つまむ、立方体を運ぶ、ペグボードの8課題を行う検査です。回復過程の統計的分析を可能とすることを目的に開発されました。

 

 Action Research Arm Test ARAT

ARAT

 上記に記した、FMAやBr.sなどは麻痺の疾患別の特徴を元に作られたものです。それに比べ、ARATは日常生活で麻痺側上肢をどう使っているかを評価する評価法になります。脳卒中の評価ツールとしてFMAと共にゴールドスタンダードとされています。

つかみ、握り、つまみ、粗大運動からなる4つの評価を、0-4点で判断し、得点範囲は0-57点となっています。麻痺が完全に改善していなくても、早い段階で57点を取れることから軽度の麻痺の方では課題が容易に行えてしまう天井効果が認められます。

 

まだいくつか評価はありますが、脳卒中の主な評価としてこれらを押さえていれば間違えないと思います。

 

最後に

評価を知ることで自分の状態を知るきっかけになりますし、麻痺の改善の切り口に繋がるかもしれません。上肢の機能評価を行うことがありましたら、ぜひ気にしてみてください。