ラミマルブログ

リハビリの仕事を通して学んできた経験をもとに、病気やリハビリ、健康や日々のことなどを発信中

脳卒中後の肩の痛み? どうして起きる?

こんにちは、ラミマルです。

 

先日は脳卒中後の上肢の痛みについて書きました。

 

・肩のトラブルは手が上がらない、亜脱臼、痛みなどがよく挙がる問題となる

・痛みは片麻痺の方にはよく頻発する

・ブルンストロームステージで痛みに差が出る可能性がある

 

今日はどうして痛みが起こるのかと、どのように対応していくか書いていこうと思います。

 

こんな人に読んでほしい! ・痛みが起こる原因を知りたい
・痛みを予防したい

 

f:id:ramisuke:20210420220336p:plain

もくじ

 

肩の痛みはなぜ起こるのか

脳卒中後は肩の痛みが起こりやすいと言いましたが、ではなぜ痛みが起こるのでしょうか?痛みの起こる原因をいくつか挙げてみましょう。

  • 寝返りや起き上がり時に麻痺側上肢の忘れ
  • ポジショニングなしで臥床、車いす離床
  • 移乗時などに上肢を打ちつける
  • セラピストによる誤ったハンドリング

などですかね。

 

 ・寝返りや起き上がり時の麻痺側上肢の忘れ

私たちが寝返りや起き上がりをする際、右側に向けば左肩がついてきて、肩から手にかけて上肢が残ることはありません。しかし麻痺した状態で寝返りを行うと、麻痺した側の上肢が残り体幹だけが捻じれ、その捻じれに上肢が引っ張られてついてくるという動作をよく見かけます。

肩が残ったまま体幹に引っ張られる状態では、肩の付け根の筋や靭帯には大きなストレスがかかります。このような動作が繰り返し起こることによって肩の痛みが生じる原因のひとつとなります。

 

 ・ポジショニングなしで臥床や車いす離床

寝ている姿勢では、麻痺側上肢は背中側に常に引っ張られる形となります。健常な方ですと、姿勢が窮屈になると自然に寝返りをうち姿勢を変えますが、片麻痺がある状態だと、上記のような麻痺側を忘れた寝返りなどにも繋がりますし、スムースにも動けません。

そのため常に腕が引っ張られる状態が続くと、靭帯等が常に引き伸ばされ循環障害や亜脱臼に繋がり、その結果肩の炎症が出現します。

 

 ・移乗時などに上肢をうちつける

これは肩の内部の痛みとは別で、だらんと麻痺した手が移乗時などにどこかにぶつけることで、痛みが発生してしまいます。これはいわゆる打ち身です。そのため移乗時などは、手の管理に気を付け、柵やアームガードなどを外しておくことでぶつけることは防げます。

 

 ・セラピストや介助者による誤ったハンドリング

私たちセラピストは関節可動域訓練といって、肩の可動域を確保、改善するために肩を上に挙げていく訓練を行います。しかし片麻痺後の方は、肩甲骨の動きや筋の働きなどが不十分で本来スムースに上がっていく肩がぎこちなく動き、肩峰下滑液包を挟み込んでしまい炎症を起こしてしまう場合があります。

また着替えの際に肩を無理にねじった状態で袖を通すなどで痛みが生じる場合があります。

 

肩の痛みをそのままにしておくと?

肩の痛みが続いてしまうと様々な問題が起こってしまいます。肩が痛いとどうしても動かすことがいやになり、動かさなくなります。そうなると関節可動域制限が起こり、肩周りは手を上げられる範囲が小さくなるかもしれません。

また動かすことが減ると、循環障害で手のひらや指がむくむ浮腫になります。また肩からの重みで姿勢が崩れ、座位や立位時のバランスの低下にも繋がるでしょう。上肢の重みから首回りも牽引され、嚥下機能の低下にも繋がります。

このように上げればキリがないですが、たくさんの弊害が起きることは確実です。

 

まずは肩の痛みを作らない

先日の記事にも書きましたが、痛みは早ければ発症後2週間、一般的にには2~3か月のうちに肩の痛みが起こるとされています。

そのためベットで寝ている姿勢を評価し、寝返りや起き上がりも麻痺側上下肢が忘れられていないかチェックしましょう。また夜間時の寝返り動作も無意識に捻じっている可能性があるので注意が必要です。

また車いすの座っている姿勢も手がだらんと垂れていると、上肢が下方向に牽引される原因に繋がります。これらをチェックし本人や家族が注意喚起していくことが大事となります。

 

肩の痛みがでたら?

まずお医者さんに診てもらいましょう。その上で痛み止めも上手に利用しましょう。また痛みの評価や動作の評価を行い、肩関節を三角巾やアームサポーターで保護しましょう。そして寝ている姿勢や車いすでの姿勢がどうなっているか評価しましょう。

痛みのない範囲で動かすことも大事になります。動かさなければ、肩が固まってしまうこともあるでしょう。痛みのない範囲で肩を使うことで、肩関節周囲の筋肉を鍛えることにも繋がります。なかなか本人だけではケアしにくい場面もあるので、家族みんなで協力して関わっていきましょう。

 

まとめ

・肩の痛みは、長時間の牽引や起居動作時の肩の捻じりなどが原因の一つ

・痛みを継続すると、さまざまな問題が起こる

・ 痛みを保護することや、痛みのない範囲で動かそう

 

明日は具体的な対処法をまとめていこうと思います。

 

肩の安定性を保つために、病院ではこのようなサポーターを利用します。大きさや左右、サイズも選べて、肩を安定させてくれる作用があります。しかし長期間着用するのは蒸れたり、血管等を圧迫する恐れがあるため、肩を安定させたいときに使用してみましょう。