脳卒中後の痛み!? その肩、亜脱臼していませんか?
こんにちは、ラミマルです。
今日は上肢(肩から手にかけて)の問題についてです。
脳卒中の片麻痺になった際に、上肢に痛みが伴うことはよく見られます。
その痛みは何が原因で起きているのでしょう?
原因を知ることで、もしかしたら痛みの予防や対応が出来るかもしれません。
では上肢の痛みの管理について話していきたいと思います。
もくじ
よくある肩のトラブルは?
肩の痛みに行く前に脳卒中で片麻痺になったとき、肩にはどんな問題が起こってくるでしょうか?いくつか挙げてみましょう。
・手が上がらない
まず脳卒中の片麻痺になると脳からの指令が筋肉に届かず、筋肉の働きが十分発揮できなくなります。そのため肩周囲の筋肉が萎縮し、肩の骨や筋肉の並びが崩れることから、円滑に手が上がりにくくなります。
・肩の亜脱臼の出現
上の図で見てもらえば分かるように、肩の関節は肩にはまる部分が丸みをおびており、球関節といわれます。この球関節を受けとめる部分は、ちょうどはまりやすいくぼみになっており適合性を保っています。その他にも靭帯の作用や、関節の中の圧を陰圧に保つことなどで肩関節は安定しています。(その他にも働きはありますが割愛します)
しかし脳卒中片麻痺になると、姿勢の崩れ、関節のはまり具合、靭帯機能など、もろもろの働きが破綻することで亜脱臼となります。亜脱臼は、肩がはまりきっている状態から不安定となり関節がずれた状態を指します。
人間のすべての関節の中で、脱臼の頻度は80%が肩関節によるものです。それは構造上、自由に動くことができる反面、不安定な作りになっているのも原因の一つです。また脳卒中片麻痺の方で30%~80%の方は亜脱臼が認められます。
しかし亜脱臼を起こしているからといって、それだけでは痛みは出現しません。あくまで痛みは二次的なものによって発生します。
・痛み
脳卒中の片麻痺で肩の痛みは頻発し、最も多い二次的障害とされています。痛みは一般的には2~3か月のうちに起こることが多く、早ければ発症後2週間で出現することもあります。発症から6か月後には8割の人が消失する報告もありますが、2割の方は6か月を超えても痛みが継続し、慢性化することもあります。慢性化した痛みになると睡眠の妨げになったり、イライラが募ったり生活の質は低下してしまいます。
ブルンストロームステージで肩の痛みに差が出る?
以前に片麻痺の段階についてお話したのを覚えているでしょうか?
詳しく知りたいという方はこちらを先に読むと分かりやすいかと思います。
簡単に説明すると、片麻痺の回復段階にはステージがあり、ブルンストロームステージという名前で分けられるのが一般的です。
ステージはⅠからⅥまでありまして、
Ⅰ、意識して動かそうとしても動かない(弛緩状態、だらっと垂れている)
Ⅱ、意識すると少し動く
Ⅲ、力が入りすぎる (歩くのに対し、手が上がったり、指がグーになったりする)
Ⅳ、力が入りすぎることが減り、少し自由に動かせる
Ⅴ、自由に動かせるが、麻痺をしていない手足の動きには劣る
Ⅵ、麻痺のしていない手足と、さほど変わらないほど動く
の6段階に分けられます。
この6段階の中でも、痛みの状況は少し変わってきます。
この中でもⅠ~Ⅲレベルは安静にしているときや、動かしたときに痛みがでることが多いです。
Ⅳ~Ⅴレベルは、安静にしているときよりも、動作をしているときに多いとされます。この原因は肩回りの筋肉が不均衡な働きをすることや、骨や筋肉の並びが崩れてしまうことで、肩を滑らかに動かすことが出来なくなってしまいます。そのため動作時痛として痛みが生じます。
Ⅵレベルは、不均衡さや骨、筋肉の配列も崩れが少ないため、痛みが起こる原因が少なく訴えほとんどみられません。
またⅠ~Ⅱレベルの方は筋肉が弛緩(力が入っていない)状態で、上肢の重みが重力に引かれ続ける姿勢にあると上腕骨は亜脱臼が起こすことが多いです。
まとめ
・肩のトラブルは手が上がらない、亜脱臼、痛みなどがよく挙がる問題となる
・痛みは片麻痺の方にはよく頻発する
・ブルンストロームステージで痛みに差が出る可能性がある
今日は脳卒中片麻痺時に起こってくる上肢の問題について取り上げてきました。痛みは長く続くと、気分は落ち込み生活を辛いものに変えてしまいます。そうならないように原因をしり、対処できればいいですね。明日はなぜ痛みがでるのか?どう対応していくかなどを話したいと思います。
肩の安定性を保つために、病院ではこのようなサポーターを利用します。大きさや左右、サイズも選べて、肩を安定させてくれる作用があります。しかしずっと着用するのは蒸れたり、血管等を圧迫する恐れがあるため、肩を安定させたいときに使用してみましょう。