前頭葉障害 原因疾患について
こんにちは、ラミマルです。
今日も前頭葉障害についてお伝えしていきます。
先日も前頭葉障害について書きましたが、原因疾患に関して少し加筆していこうと思います。
あわせて読んでもらうと分かりやすいかと思います。
もくじ
前頭葉障害とは
事故や脳卒中にて、前頭葉つまり脳の前方にダメージを受けると様々な症状が起こります。厚生労働省が定めた前頭葉障害の4つの症状は
- 遂行機能障害
- 記憶障害
- 注意障害
- 社会的行動障害
となっています。
この中で遂行機能障害と社会的行動障害については、前回の記事で触れさせてもらいました。社会適応障害として、①意欲・発動性の低下、②情動コントロール障害、③対人関係の障害、④依存的行動、⑤固執とされています。
つまり、何もやる気が起きない、やろうとしない状況、感情がコントロール出来ずすぐに怒り出す、他人と協調した関係が築けない、依存した行動、相手の意見や考えを聞かないなどの症状がみられたりします。
また前頭葉のメカニズムはまだ解明されていない部分が多いとされています。そのため前頭葉障害の対応やリハビリもまだまだ十分な効果が上げられていないのが現状です。
前頭葉障害が起こりやすい病気
脳梗塞
https://twitter.com/iryou_tubuyaki/status/390849967054536704?lang=bg
脳梗塞では内頚動脈や中大脳動脈、前大脳動脈が閉塞することで前頭葉症状が現れやすいとされています。
脳出血
前頭葉皮質下出血、尾状核出血や被殻出血の前頭葉側に広がるタイプ、視床出血の内側核に及ぶものなどは前頭葉症状が現れやすいとされています。これは内側核が前頭前野と連絡があるからとされています。つまり前頭葉周辺の出血や、前頭葉と関わりのある部位が出血すると、前頭葉症状が現れます。
クモ膜下出血
上記の脳梗塞の図に書いてある内頚動脈周辺の動脈瘤は、前頭葉周辺に位置することから、脳動脈瘤破裂やその後の血管攣縮(脳動脈瘤破裂後、周辺血管が狭まって血流障害が起こる)によって、前頭葉障害や記憶障害が見られます。
ラミマル自身も、いくつもクモ膜下出血の患者さんを担当してきましたが、どの人にも言えるのが、ぼぉーっとしていることや、記憶障害が見られたり、意欲や発動性が低下しているということです。
脳外傷
交通事故なので脳を大きく揺さぶられる際に、凹凸のある前頭蓋底などで前頭葉付近を損傷することが多いです。前頭葉がダメージを受けるので、これらも前頭葉症状を起こすことが多く見られます。
脳腫瘍
脳腫瘍が発見される時は大きくなってことが多く、前頭葉周辺に巨大化した腫瘍は症状を起こすことがあります。また腫瘍を取り除くため、開頭手術にて前方から手術をする際は、前頭葉もダメージを受けることがあります。また放射線治療も前頭葉症状が出ることもあります。
腫瘍の摘出を何度も行うことで、記憶面が著しく低下している患者さんもいました。
低酸素脳症
窒息や溺れたり、一酸化炭素中毒などで脳に酸素が供給されない状況が続くと、視空間認知障害や前頭葉障害が起こりやすいとされています。
最後に
脳卒中の中でも、クモ膜下出血に前頭葉症状がよく出現します。起こりやすい年齢としては40~50歳代が最も多いとされていますが、小児から高齢者まで発症します。そのため社会復帰には前頭葉障害とどう付き合っていくかがポイントとなってきます。